2026-05-29
歯石取りとクリーニングの違いって何?使い分けを解説
「歯石取りと歯のクリーニング、どちらも歯医者さんでやってもらえるけれど、実際のところ何が違うの?」こんな疑問をお持ちの患者さまも多いのではないでしょうか。どちらもお口の健康維持に重要な処置ですが、その目的や方法、適応症には大きな違いがあるのです。
今回は、歯科衛生士の視点から、歯石取りとクリーニングの具体的な違いと、どんな時にどちらを選べばよいかを分かりやすく解説していきますね。あなたのお口の状態に最適な選択ができるよう、ぜひ参考にしてください。
歯石取りとクリーニングの目的と方法の違い
歯石取りとは何か?その目的と特徴
歯石取り(スケーリング)とは、歯みがきで取り除くことができない歯石を、歯科医院でスケーラーという器具を使って機械的に剥がし取る治療のことです。歯石取りの主な目的は、歯周病の治療と進行防止にあります。
歯石そのものは、唾液に含まれるカルシウムやリン酸成分が歯垢(プラーク)に沈着(石灰化)し、歯の表面に石のように硬く付着したものです。歯石の表面はざらついているためプラークが付着しやすく、歯周病の間接的な原因となってしまいます。
歯石取りは保険診療で行われる治療で、歯周病の診断を受けた場合に適用されます。処置を行う前には歯周病検査が必要で、治療の一環として位置づけられています。
クリーニング(PMTC)の目的と特徴
一方、歯のクリーニングは正式にはPMTC(Professional Mechanical Tooth Cleaning)といい、専用の機器とフッ化物入り研磨剤を使用して、歯みがきで落とせない歯石や磨き残したプラークを中心に全ての歯面の清掃と研磨を行い、う蝕や歯周病になりにくい環境を整えるものです。
クリーニングは歯石除去だけでなく、歯の表面に付着した着色汚れ(ステイン)の除去や歯面の研磨も含む、より総合的なケアです。予防や審美目的で行われることが多く、多くの場合自由診療となります。
使用する器具と手技の違い
歯石取りでは、手用のハンドスケーラーと機械で動くエアスケーラーや超音波スケーラーを使用し、歯石の沈着部位・付着量・歯周組織の状態などを加味して器具を選択します。
クリーニングでは、これらのスケーラーに加えて専用のブラシやカップ、研磨ペーストなどを使用し、より丁寧な仕上げを行います。
どちらを選ぶべき?症状別の使い分け
歯周病がある場合:まず歯石取りから
歯周ポケットが4mm以上ある、歯茎から血が出る、歯茎が腫れているなどの症状がある場合は、歯周病の可能性が高いため、まず歯石取り(スケーリング)から始めるのが基本です。
超音波などを用いて歯石を破壊し水で洗い流す方法や、先のとがった器具を用いて1本1本歯石を取っていく方法があり、症状の程度に応じて適切な方法を選択します。重度の歯周病の場合は、歯茎の下にある歯石(縁下歯石)を除去するスケーリング・ルートプレーニングという処置が必要になることもあります。
予防や美容目的の場合:クリーニングが効果的
歯周病の症状がなく、予防や歯の美しさを保つことが目的の場合は、クリーニング(PMTC)がおすすめです。歯の表面に付いたプラークや着色を専用機器とフッ化物入り研磨剤を用いて除去し、歯の表面をツルツルに仕上げることで、汚れが付きにくい状態を作ります。
定期メンテナンスでの選択基準
定期的なメンテナンスでは、お口の状態によって使い分けます。
- 歯石の付着が少ない場合:クリーニング(PMTC)で予防重視
- 歯石の付着が多い場合:歯石取りで治療的なアプローチ
- 歯周病のリスクが高い場合:歯石取りを優先し、改善後にクリーニング
個人レベルでプラークコントロールの困難な部位(隣接面・歯頸部・最後臼歯部後方・矯正装置装着部・歯周ポケット・歯並びの悪いところなど)にはプラークが蓄積しやすく、定期的な専門的ケアが必要です。
専門的なPMTCとの関係性
PMTCが包括する処置内容
PMTCでは、歯科医師あるいは歯科衛生士などの専門家が、ホームケアでは行き届かない部位を中心に、全ての歯面の歯石とプラークを除去・研磨します。
PMTCは単なるクリーニングを超えた、予防歯科における最も重要な処置の一つです。歯石除去も含み、さらに歯面の研磨や予防処置まで行う総合的なケアと言えます。
ホームケアとの連携の重要性
歯周病の治療で最も大事なのは、歯科医院での処置(歯石の除去や手術)ではなく、日々歯に付着してしまうプラーク(歯垢)を、日常のブラッシングで自分でしっかり除去することです。
PMTCや歯石取りは、あくまでもホームケアを補完するものです。歯と歯周組織の健康は、ホームケアと歯科医院での専門ケアを両立することで維持することができます。
予防効果を高めるポイント
PMTCを受けた後は、次のメンテナンスまでの期間、その効果を持続させることが大切です。
- 正しいブラッシング技術の習得:歯科衛生士からの指導を受けましょう
- 補助用具の活用:歯間ブラシやデンタルフロスの使用
- 定期的な受診:3〜6か月間隔での専門的ケア
- 生活習慣の改善:食生活や喫煙などのリスク因子の管理
治療後に歯垢や歯石がつきにくくするために専用の器具で歯の表面をつるつるにするPMTCの効果を最大限活かすためにも、日頃のセルフケアとの組み合わせが欠かせませんね。
まとめ
歯石取りとクリーニングは、どちらもお口の健康を守る大切な処置ですが、その目的と適応が異なります。歯石取りは歯周病の治療として保険診療で行われ、クリーニング(PMTC)は予防や審美を目的とした総合的なケアです。
あなたのお口の状態に合わせて、歯科医師や歯科衛生士が最適な処置を提案いたします。定期的な専門的ケアと日々のセルフケアを組み合わせることで、いつまでも健康で美しい歯を保つことができますよ。
あなたに最適な選択を一緒に見つけましょう
歯石取りかクリーニングか迷っている方は、駒沢みんなの歯医者でお口の状態を確認しませんか?当院では、まず詳しい検査を行い、患者さま一人ひとりのお口の状態を正確に把握いたします。その上で、歯周病の治療が必要な場合は保険診療での歯石取りを、予防や美容目的の場合は自由診療でのPMTCを、それぞれ最適なタイミングでご提案いたします。
経験豊富な歯科衛生士が、丁寧で痛みの少ない処置を心がけ、処置後のホームケアについても詳しくアドバイスいたします。お口の健康を通じて、患者さまの生活の質向上をサポートできるよう努めております。ぜひお気軽にご相談ください。
参考文献
- e-ヘルスネット(厚生労働省)「PMTC(歯石除去・歯面清掃)」https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/teeth/h-03-009.html
- 日本歯周病学会「歯周病の治療」https://www.perio.jp/qa/treatment/







