2026-06-26
歯周病予防で大切なことは?効果的な予防方法を紹介
歯周病は「サイレント・ディジーズ(静かな病気)」と呼ばれるほど、初期段階では自覚症状がほとんど現れない病気です。しかし、放置してしまうと最終的に歯を失う原因となってしまいます。
歯周病は、とくに初期の段階では自覚症状がほとんど出ないので、歯科医療機関での検査を受けないと正確な診断を行うことはできません
そんな歯周病から大切な歯を守るためには、どのような予防が効果的なのでしょうか?今回は、歯周病予防の重要性から、具体的な予防方法まで詳しくご説明していきますね。
歯周病予防の重要性と放置するリスク
歯周病が引き起こす深刻な問題
歯周病は単なる歯ぐきの病気ではありません。
歯周病は、歯の周囲の汚れ(プラーク)のなかに含まれる細菌の毒素で歯ぐき(歯肉)に炎症が起き、歯を支える骨(歯槽骨)が溶けていく病気です
進行すると歯がぐらぐらと動き始め、最終的には抜歯が必要になることもあります。実際に、
55歳以降の各年齢層においては、歯周病が原因で歯を抜くに至ったケースが多くを占めている
という調査結果もあります[1]。
歯周病と全身の健康の関係
最近の研究では、歯周病と全身の健康には密接な関係があることが分かってきています。
糖尿病のような全身疾患があると、身体の防御機構が低下し歯周病になりやすくなります
[2]。また、その逆もあり、歯周病があると糖尿病の血糖コントロールが悪くなることも知られています。
さらに、心疾患や早産・低体重児出産のリスクとの関連も報告されており、お口の健康は全身の健康にとって非常に重要な要素なのです。
予防の重要性とその効果
定期的な歯石除去、歯面清掃および定期的な口腔診査による早期治療が歯の喪失防止に重要であることが示されており
、実際に
5年間の観察で定期的に歯石除去等を受けた群の1人平均喪失歯数は0.37歯であったのに対し、受けなかった群の喪失歯数は1.39歯であった
という研究結果もあります[3]。
このように、予防を続けることで歯を守る効果は科学的にも証明されているんですね。
日常のケアとプロフェッショナルケアの組み合わせ
セルフケアの基本:正しい歯磨き
歯周病予防の基本は歯垢がつかないようにすることで、毎日の歯みがきや定期的な歯石除去が有効です
[2]。まずは毎日のセルフケアから始めましょう。
正しい歯磨きのポイントをご紹介しますね:
- 歯ブラシの選び方:
毛足はストレートで毛束は 3〜4 列ぐらいで清掃しやすく、通気性のよいもの
を選びましょう[4]
- 持ち方:
歯ブラシの持ち方は、エンピツを持つようなペングリップ
が理想的です
- 磨き方:
歯のみがき方の基本は、一歯ずつ丁寧にみがく事です
[4]
歯周病予防には、特にスクラッビング法やバス法と呼ばれる磨き方が効果的です。これらの方法では、歯ブラシの毛先を歯と歯ぐきの境目に当てて、細かく動かしながら磨いていきます。
歯間部の清掃も忘れずに
歯ブラシだけでは、歯と歯の間の汚れは完全に取り除けません。
システマティックレビューにより歯周病予防に効果が示唆されたセルフケア(歯間ブラシの使用、禁煙等)
として、歯間ブラシやデンタルフロスの使用が推奨されています[1]。
歯間ブラシやデンタルフロスを使う際は、歯ぐきを傷つけないよう優しく使用することが大切です。最初は慣れないかもしれませんが、毎日続けることで上手に使えるようになりますよ。
歯科医院でのプロフェッショナルケア
どんなに丁寧にセルフケアを行っても、完全に歯垢や歯石を取り除くことは難しいものです。そこで重要になるのが、歯科医院でのプロフェッショナルケアです。
歯科医院で行われる専門家による徹底した歯面清掃をPMTC(Professional Mechanical Tooth Cleaning)といいます。専用の機器とフッ化物入り研磨剤を使用して、歯みがきで落とせない歯石や磨き残したプラークを中心に全ての歯面の清掃と研磨を行い、う蝕や歯周病になりにくい環境を整えます
[5]。
定期的な歯科医院でのメインテナンスでは、以下のような処置を行います:
- 歯石除去(スケーリング):硬くなった歯石を専用器具で除去
- 歯面清掃(ポリッシング):歯の表面を滑らかに磨き上げ
- 歯周ポケットの清掃:歯ぐきの溝の奥まで清掃
生活習慣の改善
歯周病予防には、生活習慣の見直しも重要です。特に注意していただきたいのが以下の点です:
- 禁煙:
タバコの煙の中には、タール、一酸化炭素、ニコチンをはじめとして、数多くの有害物質が含まれています
。
一酸化炭素やニコチンは、病原菌に対する抵抗力を低下させるとともに、歯ぐきの腫れを隠したり、傷口を治りにくくするために、歯周病を重篤化させます
[4]
- 食生活の改善:
繊維の多い野菜、ビタミンA、C、D の豊富な食べ物や野菜、果物をとり、栄養のバランスのとれた食事を心がけましょう
[4]
- よく噛んで食べる:
ゆっくりと良くかんで、唾液と食べ物とをしっかりと混ぜながら食事を楽しむことが大切です
[4]
フッ素塗布や子供からの予防習慣づくり
フッ素の歯周病予防効果
フッ素というと虫歯予防のイメージが強いかもしれませんが、実は歯周病予防にも効果があります。フッ素には以下のような作用があります:
- 歯質の強化:酸に溶けにくい強い歯を作る
- 再石灰化の促進:初期虫歯の修復を促す
- 細菌の活動抑制:歯周病菌の活動を弱める
特に大人の場合、
加齢や歯周病などによって、歯ぐきが下がって歯根部がむきだしになります。歯根部はエナメル質に覆われておらず、通常の歯に比べて虫歯になりやすいため、大人のフッ素塗布の場合、歯根部を虫歯から守ることが主な目的です
。
フッ素の使用方法
フッ素を効果的に活用するには、以下のような方法があります:
- 歯科医院でのフッ素塗布:高濃度のフッ素を専門的に塗布
- フッ素配合歯磨剤の使用:毎日のケアで手軽に取り入れられる
- フッ素洗口液の使用:歯磨き後の仕上げに効果的
すすぐときは、フッ素の効果が減弱しないように少量の水で1、2回のブクブクうがいに留め、あまりすすぎすぎないようにして、歯みがき後2時間は飲食しないようにします
ということも大切なポイントですね[6]。
子どもの頃からの予防習慣づくり
歯周病予防は、子どもの頃から始めることが理想的です。乳歯の時期から正しいケア習慣を身につけることで、将来的な歯周病リスクを大幅に減らすことができます。
子どもの予防習慣のポイント:
- フッ素塗布の開始時期:
歯科医院でおこなうフッ素塗布は「1歳半前後」からはじめることをおすすめします
- 年齢に応じたケア:
年齢に応じてフッ素濃度と使用量を守っていただくことが大切です
- 習慣化の重要性:小さな頃から歯磨きの習慣をつけることで、大人になってからも継続しやすくなります
家族みんなで取り組む予防
歯周病予防は一人だけの問題ではありません。特にお子さまがいる家庭では、家族全体で予防に取り組むことが大切です。
家族で取り組むメリット:
- 子どもが親の真似をして自然と習慣が身につく
- 家族みんなで健康意識を共有できる
- 定期検診を一緒に受けることで効率的
定期検診の重要性
歯周治療が終わったあとはメインテナンスに移行します。歯周病は容易に再発する病気なので定期的な管理が重要です
[2]。
定期検診では、以下のようなことを行います:
- 歯周ポケットの深さの測定
- 歯石の除去
- 正しい歯磨き方法の指導
- 生活習慣のアドバイス
理想的な頻度は3〜4ヶ月に一度ですが、お口の状態によって調整することもあります。定期検診を受けることで、問題を早期に発見し、適切な対処ができるようになりますよ。
まとめ
歯周病予防の基本は、毎日のセルフケアと定期的なプロフェッショナルケアの組み合わせです。
歯周病の治療は、本人が病気を治そうという努力のセルフケアと、歯科医師や歯科衛生士による治療のプロフェショナルケアに大きく分けられます
[4]。
正しい歯磨き、歯間部の清掃、フッ素の活用、そして生活習慣の改善を心がけながら、定期的な歯科検診を受けることが、歯周病から歯を守る最も確実な方法です。
特に、症状が現れにくい歯周病だからこそ、予防が何よりも重要なのです。今日から実践できることから始めて、将来も健康な歯を保ち続けましょうね。
歯周病予防を本格的に始めたい方は、駒沢みんなの歯医者で現在のお口の状態をチェックしませんか?私たち歯科衛生士が、あなたのライフスタイルに合わせた効果的な予防方法をアドバイスいたします。歯周病は予防が何よりも大切です。自覚症状が現れる前に、しっかりとした予防習慣を身につけて、生涯にわたって健康な歯を保ちましょう。お一人おひとりに寄り添った丁寧なケアで、あなたの歯の健康をサポートします。
参考文献
[1] 厚生労働省「歯周病罹患の現状と対策について」https://www.mhlw.go.jp/content/10801000/000779831.pdf
[2] e-ヘルスネット(厚生労働省)「歯周病の予防と治療」https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/teeth/h-03-006.html
[3] 厚生労働省「歯の健康」https://www.mhlw.go.jp/www1/topics/kenko21_11/b6.html
[4] 日本歯科医師会「歯周病 – 歯とお口のことなら何でもわかる テーマパーク8020」https://www.jda.or.jp/park/trouble/index_04.html
[5] e-ヘルスネット(厚生労働省)「歯周病」https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/teeth-summaries/h-03
[6] 8020推進財団「Part1 むし歯・歯周病を防ぐ歯みがき習慣」https://www.8020zaidan.or.jp/10th_8020/part1/07.html







