「歯医者に連れていこうとすると、泣いて嫌がってしまって…」。駒沢・世田谷で子育て中の親御さんから、こんなお声をよくいただきます。
その焦りと申し訳なさ、本当によくわかります。でも、子どもが怖がるのには必ずちゃんとした理由があるんですよ。原因を知ったうえで、少しずつ工夫していきましょう。この記事では、歯科衛生士の立場から「怖がりさん」のお子さんとのかかわり方を、具体的にお伝えしていきます。
子どもが歯医者を怖がるのはなぜ?恐怖の正体を知ることから
歯科恐怖は「成長過程の自然な反応」
まず、「うちの子だけが特別に怖がりなんじゃないか…」と思っている親御さんに、安心してほしいことがあります。
子どもが医療処置を怖がるのは、発達段階における自然な反応です。子どもは病気や医療処置に対して恐怖・不安・苦痛を感じやすく、それはその子の年齢や発達段階、気質やコーピングスタイル、これまでの医療処置の経験、医療関係者や親の態度や言動によっても変わってきます。
歯科に対する恐怖(歯科恐怖)は、J-STAGEに掲載された小児歯科学分野の研究でも取り上げられるほど、歯科臨床における重要なテーマです。歯科恐怖は、歯科医院において非常に重要な臨床的問題であり、患者が歯科に対して恐怖や不安を覚えると、長期にわたり歯科治療を回避する原因となり、口腔に関連したQuality of Lifeが著しく低下します。お口の健康を守るためにも、早めに向き合っておきたいテーマですよね。
恐怖の主な「3つの引き金」
子どもが歯医者を怖がる原因は、ひとつではありません。大きく分けると、次の3つが絡み合っていることが多いです。
① 過去の「痛かった記憶」
以前の歯科治療で痛みや不快感を感じた経験が、記憶として残ることがあります。幼少期(就学前)に受けた歯科治療時の抑制的な対応の記憶が、その後の治療への態度にどの程度関連しているかを調査した研究では、抑制的対応経験を持つ者の中で、現在でも歯科治療に対して明確に恐怖や不安を感じる者は全体の18%に上ったと報告されています。一度でも怖い思いをすると、「また同じことが起きるかも」という不安が先に立つようになるんです。
② 音・においなどの「感覚的なプレッシャー」
診療室のドリルの音、消毒剤の独特なにおい、見慣れない器具の光。子どもにとって、これらはとても強い刺激です。見通しが持てないこと自体が、恐怖の大きな要因になっています。
③ 親や周囲から伝わる「間接的な不安」
じつは、親御さん自身の緊張や不安が、お子さんに伝わってしまうことがあります。「悪い子にすると歯医者に連れていくよ」「虫歯になったら痛い治療をするよ」といった言葉は、歯科医院は怖い場所というイメージを定着させてしまい、逆効果になってしまいます。(日本歯科医師会「テーマパーク8020」より)
「怖さ」を放置するとどうなるの?
怖がっているから通院を先送りにしてしまうと、虫歯などの問題が深刻になってしまう可能性があります。歯科治療に恐怖や不安を感じると、歯科治療を回避するようになり、一度精神的外傷(トラウマ)になってしまうと不安がさらに強くなるという悪循環が生じます。(日本歯科医師会「テーマパーク8020」より)
逆に言えば、今この時期に「歯医者はこわくない場所」という経験を積み重ねておくことが、お子さんの一生の口腔健康を守ることにつながります。
初めて連れて行く前に:家でできる「歯医者ごっこ」準備術
まず「見て・知る」ことから始めよう
子どもが何かを怖がるとき、その根本には「知らないこと」や「見通しが持てないこと」があります。
だから、歯医者に行く前に「どんなことをするのか」を家で少し体験しておくと、当日の不安がぐっと小さくなるんですよ。
小児歯科の行動管理として歯科国家試験にも取り上げられるほど標準的な手法が「Tell-Show-Do(テル・ショー・ドゥ)法」です。これは、「①これからすることを言葉で説明する(Tell)→②実際に見せる(Show)→③やってみる(Do)」という3ステップで子どもの不安を減らしていく方法で、ご家庭でも応用できます。
家でできる"歯医者ごっこ"の例
- ぬいぐるみや人形を患者さんに見立てて、「歯を見てあげるね」と口の中を懐中電灯でのぞく
- 歯ブラシを器具に見立てて、「お口を開けて、あーって言ってみて」と練習する
- 親御さんが患者さん役になって見本を見せる(「ほら、全然怖くないでしょ」)
子どもの不安や苦痛を理解し、ていねいにかかわることによって、それらをある程度低減することは可能であり、苦痛を乗り越えた体験は子どもにとって自信ともなります。家での"小さな成功体験"が、本番の不安を和らげる土台になっていきます。
予約前に「子どもの情報」を医院に伝えよう
初めて予約するときは、「うちの子は歯医者が苦手で…」と電話や予約フォームで事前に伝えてみてください。
お子さんの性格・過去の経験・何が特に怖いのかを共有することで、医院側もそのお子さんに合った対応のスタートラインを準備できます。
当院(駒沢みんなの歯医者)では、初めてご来院されるお子さんに対して、いきなり治療を始めるのではなく、まずはお口の中を見るだけの「慣らしステップ」から始めることにしています。診療台に座る・口を開ける・器具の感触に慣れる、といった段階を踏んでいくことで、「ここは大丈夫な場所だ」という安心感を少しずつ積み重ねられるよう努めています。
また、受付から診療台上での診療開始までのお子さんの行動や情緒をよく観察することが、診療協力度を予測する上で重要です。初診時に、受診の動機や歯科診療・歯科医師に対する子どもの気持ちを、子ども自身の言葉で話してもらうことも、その後の対応を選択する上でとても有用な情報になります。
予約時間帯・もちものを工夫しよう
| 準備のポイント | 具体的な工夫 |
|---|---|
| 予約時間 | 子どもが機嫌のよい午前中が◎。空腹時・昼寝後すぐは避けて |
| 服装 | 締め付けが少なく着脱しやすい服。口まわりが見えやすいトップス |
| 持ちもの | お気に入りのぬいぐるみや小さなおもちゃを1つ。ご褒美シールなど |
| 親御さんの準備 | 「何をするか」の流れを事前に調べ、お子さんに伝えておく |
当日の声かけで変わる!NGワードとおすすめフレーズ
親の「言葉」がお子さんの体験を左右する
歯医者に向かう道すがら、待合室でのひとこと——それが、お子さんの歯医者体験を大きく左右します。
よかれと思った声かけが、じつは逆効果になっていることも少なくないんです。まず、やりがちな「NGワード」を確認しましょう。
| NGワード | なぜNGなのか | 代わりに使いたいフレーズ |
|---|---|---|
| 「痛みがないから大丈夫!」 | 痛みへの言及が不安を刺激する | 「お口を見てもらうだけだよ」 |
| 「泣いたら恥ずかしいよ」 | プレッシャーが恐怖を増幅させる | 「怖かったら教えてね、一緒にいるよ」 |
| 「虫歯があると怖い治療になるよ」 | 歯科=怖いという先入観を植える | 「歯をきれいにしてもらいにいこう」 |
| 「我慢すれば終わるから」 | 苦痛があることを前提にしてしまう | 「ちょっとの間だよ、頑張ってみよう」 |
| 「嫌なら行かなくていいよ」 | 回避行動を強化してしまう | 「一緒に行ってみようか」と前向きに誘う |
「むし歯ができると痛い治療をしないといけなくなるよ」と話す保護者の方がいますが、これは逆効果で、「歯科医院は怖い」というイメージが定着してしまいます。(日本歯科医師会「テーマパーク8020」より)お子さんへの第一印象をポジティブに保つことが、何より大切です。
当日・診察中に使えるおすすめフレーズ
【医院に向かうとき】
- 「今日は歯をピカピカにしてもらいにいくよ!」
- 「○○ちゃんのこと、先生に伝えてあるから安心してね」
【待合室・診察室に入るとき】
- 「どんなお部屋か見てみよう!」(探検気分で)
- 「ぬいぐるみも一緒に来たよ」(持参のぬいぐるみを活用)
【診察中・終わった後】
- 「よく頑張れたね!すごかったよ」(具体的にほめる)
- 「次はどのシールにしようか」(ご褒美への期待感で締める)
診察が終わったあとの「ほめ言葉」は本当に大切です。「頑張れた!」という成功体験が積み重なると、次回の来院へのハードルが自然と下がっていきますよ。
親御さん自身が「落ち着いた態度」でいることが大事
医療処置は子どもだけでなく親にも不安や苦痛をもたらします。そしてその恐怖・不安・苦痛は、医療関係者や親の態度や言動によっても大きく変わってきます。
つまり、親御さんが安心していると、お子さんにもその安心感が伝わるんです。
たとえば待合室でスマホを見ながら待つのではなく、「ここはいい匂いがするね」「このおもちゃかわいいね」と診療室の"良いところ"を探してお子さんと話していると、自然と緊張がほぐれていきます。
当院は、カフェのようなアットホームな空間づくりを意識しており、病院らしい雰囲気を和らげる環境づくりに取り組んでいます。プライバシーに配慮した診療室を設けており、お子さんもご家族も落ち着いて過ごしていただけるよう努めています。
歯医者選びで変わる!お子さんに合った医院の見極めポイント
「痛みへの配慮」は医院によって大きく異なる
お子さんが歯医者を怖がる理由のひとつが「痛みへの不安」です。麻酔注射の針を刺す痛みが怖くて、泣き出してしまうお子さんもいますよね。
当院では、この麻酔の痛みを抑えるために、表面麻酔と電動麻酔器を組み合わせた工夫を行っています。まず表面麻酔(ゲル状の麻酔薬を歯ぐきに塗布するもの)でしびれさせてから、電動麻酔器でゆっくり・均一に麻酔液を注入することで、注射時の痛みを抑えることを目指しています。「痛いかも…」という怖さが少しでも和らぐよう、工夫を積み重ねています。
なお、フッ素塗布(歯にフッ素を塗るだけの予防処置)などは麻酔が不要で痛みの少ない処置ですので、初めてのお子さんにも取り組みやすいケアです。
初診で「いきなり治療しない」医院を選ぼう
お子さんの歯科恐怖を予防する上で、最初の来院体験を「成功体験」にすることは非常に重要です。
お子さんにとって初めての歯科院の受診は「治療」よりも「健診」がよいでしょう。痛い治療がなく口腔内を見るだけなので、怖いという先入観が生まれません。(日本歯科医師会「テーマパーク8020」より)
当院では、濱田潤二院長のもと「長期的に良好な状態を維持できることが治療の本質」という考えを治療方針の中心に置いています。お子さんの場合も、いきなり処置を急ぐのではなく、慣れてもらうことを最優先にした丁寧なアプローチを心がけています。
下の表で「比較検討」してみよう
比較検討段階の親御さん向けに、歯医者選びの視点を整理しました。どの医院を選ぶかの参考にしてみてください。
| 確認ポイント | こんな点をチェック |
|---|---|
| 痛みへの配慮 | 表面麻酔・電動麻酔器の使用有無、説明の丁寧さ |
| 初診対応 | いきなり治療しない「慣らし診療」があるか |
| 空間・雰囲気 | 病院っぽくない内装、プライバシーへの配慮 |
| 通いやすさ | 土曜診療・夜間診療など家族の予定に合わせやすいか |
| 小児対応実績 | お子さんから高齢者まで家族で通える体制があるか |
当院は東急田園都市線・駒沢大学駅から徒歩4分、土曜日も17:00まで診療しており、平日のお仕事が忙しい親御さんにも通っていただきやすい体制を整えています。
まとめ
- 子どもが歯医者を怖がるのは自然なこと。 過去の痛み・感覚的な刺激・親から伝わる不安が主な原因で、どのお子さんにも起こりうる反応です。
- 「治療」より先に「慣れること」を優先しよう。 最初の来院はいきなり治療ではなく、健診・口の中を見るだけからがベスト。小さな成功体験の積み重ねが、長期的な通院習慣につながります。
- 家での「歯医者ごっこ」が本番の不安を減らす。 ぬいぐるみを患者役にした"Tell-Show-Do"的なごっこ遊びで、「どんなことをするか」を事前に体験させておきましょう。
- NGワードを避けて、前向きな声かけを心がけて。 「怖くない?」「我慢して」より「一緒に行こう」「頑張れたね!」が、歯医者への印象をポジティブに変えていきます。
- 痛みに配慮した設備・アットホームな雰囲気の医院選びも大切。 表面麻酔・電動麻酔器などの工夫や、病院っぽくない空間づくりが、お子さんの恐怖を和らげる助けになります。
「うちの子、歯医者が苦手で…」という場合も、ぜひ一度ご相談ください。駒沢大学駅から徒歩4分の駒沢みんなの歯医者は、カフェのようなアットホームな空間で、初めてのお子さんでも無理なく通える環境を整えています。土曜診療も行っておりますので、駒沢小学校区・駒沢中学校区のご家庭もぜひご利用ください。まずはお電話やWebからお気軽にご連絡いただければ、丁寧にご対応いたします。
駒沢みんなの歯医者|東急田園都市線・駒沢大学駅 徒歩4分
公式サイト:https://komazawa-haisha.com/
はじめて受診される方は、初めての方へ(初診の流れ)もあわせてご覧ください。
参考文献
[1] 小児歯科学雑誌(J-STAGE)苅部洋行「歯科恐怖を知る ─疫学と原因─」jstage.jst.go.jp
[2] 小児歯科学雑誌(J-STAGE)鬼頭秀明ほか「幼少期の歯科治療体験が現在の歯科恐怖に及ぼす影響」jstage.jst.go.jp
[3] 日本小児科麻酔学会雑誌(J-STAGE)「子どもの心理と医療処置」jstage.jst.go.jp
[4] 小児歯科学雑誌(J-STAGE)「小児の歯科診療時の行動と心理に関する研究」jstage.jst.go.jp
[5] 日本歯科医師会「テーマパーク8020 ─歯が原因ではない痛み(歯科恐怖症)」jda.or.jp
[6] 日本歯科医師会「テーマパーク8020 ─お悩み相談!教えて先生(子どものオーラルケア)」jda.or.jp