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歯科のエアフローって何?仕組みと効果、受ける前に知っておきたいこと

「クリーニングのときに使うパウダーって何ですか?」と患者さんからよく聞かれます。それが「エアフロー」です。歯ブラシでは届かない汚れをやさしく落とせると、予防歯科に関心のある方のあいだで注目されています。でも「どんな仕組みなの?」「歯石も取れるの?」「自分に合っているの?」と、受ける前に確認しておきたいことがたくさんありますよね。

この記事では、エアフローの仕組みから除去できるもの・できないもの、当院(駒沢みんなの歯医者)での施術の流れ、受けるときの注意点まで、歯科衛生士の立場から丁寧にお伝えします。

エアフローとは?パウダーで汚れを落とす仕組みをわかりやすく説明します

パウダー・水・空気の3つで汚れを落とす

エアフローは、専用の細かいパウダーと水・圧縮空気を歯面に向けて噴射することで、汚れを除去するクリーニング方法です。金属製の器具で歯をこする方式ではなく、「パウダーの粒子と水流のちから」を使う点が大きな特徴です。

使われるパウダーにはいくつか種類があります。代表的なものがエリスリトール(粒径約14マイクロメートル)です。エリスリトールは天然由来の糖アルコールで、粒子が非常に細かく、歯の表面を傷つけにくい性質があります。また、重曹(炭酸水素ナトリウム)やグリシン(アミノ酸の一種)が使われることもあります。

この粒子が歯面に当たることで、バイオフィルム(細菌が作る薄い膜状の塊)や色素性沈着(ステイン)をやさしく剥がし取るというわけです。

バイオフィルムとは何か——除去が大切な理由

「バイオフィルム」という言葉を初めて聞いた方もいらっしゃるかもしれません。簡単にいえば、複数の細菌が集まってできた「塊の膜」のことです。お風呂場のタイルのヌルヌルや、台所の排水口にできるぬめりと同じ仲間です。

厚生労働省のe-ヘルスネットは、「口の中で細菌はバイオフィルムという薄い膜を作り歯に張りついており、バイオフィルムは薬品が効きにくいため、毎日のていねいな歯みがきや歯科医院での清掃が有効」と説明しています[1]。

つまり、うがい薬や洗口液をどれだけ使っても、バイオフィルムの中の細菌には薬が届きにくいのです。物理的に「はがし取る」ことが一番大切、ということですね。そのための有力な手段の一つがエアフローです。

PMTCとエアフローの違いを整理しよう

エアフローはよく「PMTCの一部」として位置づけられます。PMTCとはProfessional Mechanical Tooth Cleaning(専門家による機械的歯面清掃)の略で、e-ヘルスネットによると「専用の機器とフッ化物入り研磨剤を使用して、歯みがきで落とせない歯石や磨き残したプラークを中心に全ての歯面の清掃と研磨を行い、う蝕や歯周病になりにくい環境を整えます」と定義されています[2]。

PMTCは複数の処置を組み合わせたクリーニング全体の概念で、エアフローはその中の「パウダー噴射によるバイオフィルム・ステイン除去」の工程に相当します。

項目 エアフロー 超音波スケーリング
主な対象 バイオフィルム・ステイン 歯石(石灰化した硬い付着物)
器具の当て方 非接触・噴射式 先端を歯面に当てる
歯面への刺激 比較的少ない 振動あり
保険適用 原則自費 歯周病治療であれば保険あり
歯石除去 できない できる

当院(駒沢みんなの歯医者)では、予防歯科の中でエアフローを取り入れており、特にバイオフィルムの除去や日常的なステイン汚れへのアプローチで活用しています。PMTCとエアフローの詳しい内容については、こちらの記事もあわせてご覧ください。

PMTCの効果とは?プロによる歯面清掃の必要性

エアフローで除去できるもの・できないもの——対象を正確に知ろう

得意なこと:バイオフィルムとステインの除去

エアフローが最も力を発揮するのは、次の2つです。

① バイオフィルム(細菌の膜)の除去

歯の表面だけでなく、歯周ポケット(歯と歯ぐきの境い目にある溝)の内部まで細いノズルを使って届かせることができます。これは「ペリオフロー」と呼ばれる専用チップを用いることで実現します。歯周ポケット内のバイオフィルムを除去できることは、歯周病予防の観点から大きな意味があります。

厚生労働省の令和4年歯科疾患実態調査によると、2人に1人は中等度以上の歯周病(歯周ポケット4mm以上)に罹患しており、その割合は長年にわたって改善していません[3]。歯周ポケット内のバイオフィルムを定期的に除去することは、この状況に対して歯科が取り組める重要なアプローチの一つです。

② ステイン(着色汚れ)の除去

コーヒー・紅茶・赤ワイン・タバコのヤニなどによる色素沈着をやさしく落とすことが得意です。ただし、「エアフロー=ホワイトニング」ではありません。あくまでも付着した外来性の汚れを落とすことで、「本来の歯の色に戻す」処置です。歯そのものの色を明るくしたい場合はホワイトニングが必要になります。

苦手なこと:歯石や虫歯への対応

エアフローが対応しにくいのは以下のものです。ここを正確に理解してから受けていただくのが大切です。

汚れ・状態 エアフローで対応できるか 理由・補足
バイオフィルム ◎できる 最も得意な領域
ステイン(着色) ◎できる 外来性の色素汚れ
歯石(石灰化した硬い付着物) ✕できない スケーリングが必要
虫歯の治療 ✕できない 削って詰める処置が別途必要
歯の変色(内因性) ✕できない ホワイトニング等が対象

特に歯石は、プラーク(歯垢)が唾液中のカルシウムなどと結合して石灰化したもので、手用スケーラーや超音波スケーラーで除去する必要があります[1]。エアフローの前後に歯石除去(スケーリング)を行うかどうかは、お口の状態を確認したうえで判断します。歯石取りとクリーニングの違いについては、こちらをご参照ください。

歯石取りとクリーニングの違いって何?使い分けを解説

受けるときに確認しておきたい注意事項

エアフローを受けるにあたって、事前に知っておいてほしいことがあります。

施術後の飲食について

エアフロー後は、歯の表面を保護している「ペリクル(獲得被膜)」と呼ばれる薄い膜が一時的に落ちた状態になります。施術後2〜3時間はコーヒー・お茶・赤ワインなど色素の濃い飲み物や食べ物を控えることをお願いしています。喫煙も同様に控えていただくと、効果が長続きします。

使用できない方の確認が必要な場合

呼吸器疾患(気管支炎・喘息など)のある方や、ナトリウム摂取制限が必要な方、妊娠中の方は、施術前に必ずご相談ください。お口の状態によっては、歯ぐきが急性炎症を起こしている時期は施術を見合わせることもあります。

歯のしみについて

知覚過敏(冷たいものがしみる症状)がある方は、パウダーが当たる際に一時的な違和感を感じることがあります。施術前にスタッフにお伝えいただければ、対応を工夫します。

施術の流れ——当院での一般的なステップと所要時間の目安

ステップ1:お口の状態の確認(問診・口腔内チェック)

はじめて来院される方には、まず口腔内の状態を確認します。歯周ポケットの深さ・歯石の有無・ステインや汚れの範囲・歯ぐきの状態をチェックし、エアフローが適切かどうか、他の処置と組み合わせるかを判断します。

当院では「長期的に良好な状態を維持できることが治療の本質」という治療理念のもと、濱田潤二院長と歯科衛生士がチームで現在の口腔状態を確認し、その方に合ったクリーニングの内容をご提案しています。いきなりパウダーを当てるのではなく、「なぜ汚れているのか」「どこに汚れが集中しているか」を確認することが大切です。

ステップ2:染め出し(バイオフィルムの可視化)

バイオフィルムや磨き残しは肉眼ではほとんど見えません。そこで、専用の染め出し液を使って汚れを色づけし、「どこに」「どのくらい」付いているかを可視化します。

この工程は患者さんご自身にとっても、「いつも磨けていないところはここだったんだ」と気づくきっかけになります。染め出しを見ながら一緒に確認することで、その後のホームケアにも活かせる情報をお伝えできます。

「歯みがきをがんばっているのにうまく磨けていない気がして…」という方にこそ、ぜひ体験してほしい工程です。

ステップ3:エアフロー施術・仕上げ

染め出しで確認した箇所を中心に、エアフローで丁寧にクリーニングします。歯の表面だけでなく、歯と歯の間・奥歯の溝・歯周ポケット内(状態に応じて)まで丁寧に対応します。

その後、必要に応じてスケーリング(歯石除去)を行い、最後に歯面の確認と仕上げをして終了です。

所要時間の目安

処置の内容 目安の時間
口腔内チェック・問診 10〜15分程度
染め出し・説明 5〜10分程度
エアフロー施術 20〜30分程度
歯石除去(必要な場合) 10〜20分程度
仕上げ・ホームケア指導 5〜10分程度

合計でおよそ45〜60分を目安にしています。ただし、歯石の量やお口の状態によって前後します。

施術中は寝いすに横になった状態でリラックスして受けていただけます。当院はカフェのようなアットホームな空間づくりを大切にしており、「歯医者は怖い」と感じていた方にも「思ったよりリラックスできた」とおっしゃっていただいています。

受ける頻度と費用——「いつ・どのくらいの間隔で」通えばいい?

予防としてのエアフローの受診頻度

エアフローを含むプロフェッショナルなクリーニングは、「1回受けたら終わり」ではなく、定期的に受け続けることで効果を発揮します。

バイオフィルムは一度除去しても、時間が経てばまた形成されます。一般的には3〜6ヶ月ごとの定期メンテナンスの中にエアフローを組み込んでいただくのが、歯と歯ぐきの健康を維持するうえで効果的です。

お口の状態によって適切な間隔は異なりますので、口腔内チェックの結果をもとにスタッフがご提案します。予防歯科の適切な通院間隔については、以下の記事もご参照ください。

予防歯科の頻度はどのくらい?適切な通院間隔を解説

費用の目安(自費診療)

エアフローは現在のところ保険適用外(自費診療)です。費用は医院や処置の内容によって異なりますが、一般的に5,000〜15,000円程度を目安にしている医院が多い状況です。

当院では、口腔内の状態に合わせた処置内容を確認のうえ、費用についても事前にご説明します。クレジットカードや分割払いにも対応していますので、ご希望の方はお気軽にご相談ください(保険診療分は現金のみ)。

なお、歯周病の治療として行うスケーリングは保険の範囲内で受けられる場合があります。予防歯科の費用の考え方については、こちらも参考にしてください。

予防歯科の費用はいくら?保険適用と自費の違いを解説

こんな方に特にご相談いただきたいです

エアフローを一度試していただきたい方の例を挙げると、

  • コーヒー・紅茶・赤ワインが好きで、歯の色が気になってきた
  • タバコのヤニによる着色が気になっている
  • 矯正装置(ブラケット・ワイヤー)を付けていてブラッシングしにくい
  • 歯ぐきから出血することがあり、歯周病が心配
  • 毎日ちゃんと磨いているつもりだが、磨き残しが気になる

などが挙げられます。一方、歯石が多い方・歯周病が進行している方は、まずスケーリングや歯周病治療を優先することが必要な場合もあります。お口の状態を確認してから判断しましょう。

歯周病予防との関係について詳しくは、こちらもご覧ください。

歯周病予防で大切なことは?効果的な予防方法を紹介

エアフローを受けた後のセルフケアで大切にしてほしいこと

施術後の「守ってほしいこと」

エアフローを受けたあと、せっかくきれいになった状態を長持ちさせるには、施術後のホームケアがとても大切です。

まず施術後2〜3時間は、コーヒー・お茶・赤ワイン・カレーなど色素の濃い飲食物を避けてください。ペリクル(保護膜)が再形成されるまでのあいだ、歯の表面が汚れを吸着しやすい状態になっているためです。

毎日のホームケアに取り入れてほしいこと

エアフローはプロによるクリーニングです。でも、その効果を活かすのは毎日のホームケアです。「クリーニングを受けたからこれでしばらく安心」と思わずに、次のことを習慣化してみてください。

  • 夜だけはフロスを使う:歯と歯のあいだはハブラシだけでは磨けません。フロスは「歯ブラシでは届かない部分を補う道具」として、夜の歯磨きのあとに1日1回使うだけでも大きく変わります[4]。
  • 歯磨きは2分以上・軽い力で:力を入れてゴシゴシ磨くよりも、毛先を歯と歯ぐきの境い目に当てて、小刻みにやさしく動かすのがポイントです。
  • 磨き残しが多いところをメモしておく:染め出しで確認した「いつも磨けていない場所」を意識して磨くようにしましょう。

「夜は疲れていてフロスまで難しい…」という方、まずはお試しで3日続けてみてください。きっと口の中がさっぱりする感覚を感じていただけると思います。

3ヶ月ごとのチェックが自分への投資になる

エアフローの効果を最大化するには、3〜6ヶ月ごとの定期メンテナンスと組み合わせることが重要です。毎日のセルフケアでは届かない部分をプロが補い、状態をチェックしながら「歯を守る環境」を継続的に整えていく——これが予防歯科の本来のあり方です。

予防歯科をこれから始めたい方は、まず検診から気軽にスタートできます。

予防歯科を始めるタイミングは?スタートの流れを解説

まとめ

この記事でお伝えしてきたことを整理します。

  • エアフローとは、細かいパウダー・水・空気を噴射してバイオフィルムやステインを除去するクリーニング法です。金属器具を歯面に当てる方法ではなく、歯への刺激が比較的少ないのが特徴です。
  • バイオフィルム(細菌の膜)は薬剤が効きにくく、物理的に除去することが重要です[1]。エアフローはこのバイオフィルムを除去する有力な手段の一つです。厚生労働省の令和4年歯科疾患実態調査では、2人に1人が中等度以上の歯周病に罹患していると報告されており[3]、定期的なクリーニングの重要性が改めて示されています。
  • エアフローで除去できるのはバイオフィルムとステインです。歯石の除去はできません。歯石が多い場合はスケーリングを先に行う必要があります。
  • 施術後2〜3時間は色素の濃い飲食物を避けることが大切です。また呼吸器疾患がある方・ナトリウム摂取制限が必要な方は事前にご相談ください。
  • 3〜6ヶ月ごとの定期メンテナンスとセルフケアを組み合わせることで、健康なお口の状態を長期的に維持することを目指せます。毎日夜にフロスを1本使う習慣が、最初の一歩として有効です。

「エアフローが自分に合うか知りたい」「どの汚れに効くのか確認してから受けたい」という方は、まず現在のお口の状態を確認する検診からお気軽にご相談ください。駒沢みんなの歯医者は、東急田園都市線・駒沢大学駅から徒歩4分。平日は夜20時まで診療しており、土曜も17時まで診ております(水曜午後・日曜・祝日は休診)。受診のご予約・ご相談は公式サイトからも承っています。

🔗 https://komazawa-haisha.com/

はじめて受診される方は、初めての方へ(初診の流れ)もあわせてご覧ください。

参考文献

  • PMTC(歯石除去・歯面清掃) | e-ヘルスネット(厚生労働省)(厚生労働省 e-ヘルスネット(健康日本21アクション支援システム)) https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/teeth/h-03-009.html
  • 歯科口腔保健の推進に向けた取組等について(2025年3月)(厚生労働省) https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/001448480.pdf
  • 歯間部清掃(デンタルフロス・歯間ブラシ) | e-ヘルスネット(厚生労働省)(厚生労働省 e-ヘルスネット(健康日本21アクション支援システム)) https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/teeth/h-03-008.html

[2] 厚生労働省 e-ヘルスネット「PMTC(歯石除去・歯面清掃)」kennet.mhlw.go.jp

[3] 厚生労働省「歯科口腔保健の推進に向けた取組等について(2025年3月)」mhlw.go.jp

[4] 厚生労働省 e-ヘルスネット「歯間部清掃(デンタルフロス・歯間ブラシ)」kennet.mhlw.go.jp

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