せっかくきれいにしてもらったのに、歯がしみて驚いた経験はありませんか。冷たい水でうがいをした瞬間や、歯みがきの後にキーンとした感覚があると、「何か悪いことが起きたのでは」と不安になりますよね。まずお伝えしたいのは、PMTC(歯科衛生士による専門的な歯面清掃)の後に一時的にしみるのは、決して珍しいことではないという点です。ここでは、しみる仕組みと当日の過ごし方、長引く場合の見分け方を、担当制でメンテナンスを担当している立場から順にお話しします。
PMTC後にしみるのは、歯の表面がきれいになった直後の一時的な反応です

PMTCの直後にしみるのは、汚れの膜に覆われていた歯の表面が急に外の刺激を受けるようになるためであることが多く、時間の経過とともに落ち着いていくケースがほとんどです。むし歯の痛みのように長く続くものではなく、数時間から数日で気にならなくなる方が大半です。
汚れの膜が取れることで象牙質が刺激を受けやすくなる
普段は歯垢(プラーク)や着色汚れがうっすらと歯の表面を覆っていますが、PMTCでこれを取り除くと、歯の根元近くで象牙質(エナメル質の内側にある組織)が露出している部分に刺激が直接届きやすくなります。これが「クリーニング後にしみる」と感じる主な理由です。
器具の水や風が当たることでも一瞬しみることがある
清掃中に使う水流や乾燥用の風が、もともと知覚過敏の傾向がある歯に当たると、その場でキーンとした感覚が出ることもあります。これは処置そのものの刺激であり、施術が終われば徐々におさまっていきます。
当院ではエアフローを併用し、刺激をやわらげる工夫をしています
当院では専用パウダーと水で歯の表面をやさしく清掃するエアフローを導入しており、従来の器具だけに頼るより刺激を抑えやすい工夫をしています。エアフローの仕組みについては、歯科のエアフローって何?仕組みと効果、受ける前に知っておきたいことで詳しく紹介していますので、気になる方はあわせてご覧ください。
しみる仕組みは、象牙質の小さな穴に刺激が伝わりやすくなることです

歯の内部にある象牙質には、神経につながる無数の細い管(象牙細管)が通っています。この管が露出すると、冷たいものや風といった刺激が神経まで伝わりやすくなり、「しみる」という感覚として自覚されます。
歯ぐきが下がっている部分ほど象牙質が露出しやすい
神奈川県歯科医師会によると、知覚過敏の原因には、歯周病、虫歯、誤ったブラッシングによる象牙質の露出、酸蝕症、ホワイトニングの薬剤による刺激などが考えられます[1]。もともと歯ぐきが下がって根元が見えている方は、PMTCの刺激をしみやすく感じる傾向があります。
冷たいものや風がしみやすいのは一時的な反応であることが多い
同資料では、通常、知覚過敏の症状は30秒以内に消失しますが、重症、難治性のものもあるとされています。PMTC後のしみる感覚も、多くはこの一時的な反応の範囲に収まります。ただし個人差があるため、不安なときは我慢せずに次の来院時に相談していただければと思います。
当日の過ごし方を少し工夫すると、しみる感覚はやわらぎやすくなります
PMTCを受けた日は、歯の表面がいつもより敏感になっていることを前提に過ごすと安心です。特別なことをする必要はありませんが、刺激の強い食べ物や飲み物を少し控えるだけで感じ方が変わってきますよ。
数時間は冷たい・熱い・酸味の強いものを控えめに
施術当日は、氷入りの飲み物やアイス、酸味の強い柑橘類や炭酸飲料などを控えると、しみる感覚を感じにくくなります。翌日以降は多くの方が気にせず食事できるようになっていきます。
歯みがきはやわらかい毛先で、力を入れずに
当日から翌日にかけては、毛先のやわらかい歯ブラシで優しく磨くことをおすすめします。力を入れてゴシゴシ磨くと、露出した象牙質にさらに刺激を与えてしまうことがあるためです。
| 当日控えめにしたいもの | 当日でも大丈夫なことが多いもの |
|---|---|
| 氷・アイスなど極端に冷たいもの | 常温の水・お茶 |
| 柑橘類・酢の物など酸味の強いもの | 麺類・おかゆなどやわらかい食事 |
| 硬い毛先の歯ブラシで強く磨く | やわらかい毛先で優しくブラッシング |
なお、フッ素塗布を同日に行った場合は塗布後しばらく飲食を控える必要があるため、その日は担当の歯科衛生士からの説明に沿って過ごしていただくと安心です。フッ素の効果が続く期間については、フッ素塗布の効果はいつまで?虫歯予防への影響を解説もご参考にしてください。
しみが数日以上続くときは、知覚過敏や虫歯が隠れている可能性があります
しみる感覚が数日たっても変わらない、あるいは徐々に強くなっている場合は、一時的な反応ではなく知覚過敏やむし歯が背景にあることも考えられます。この場合は自己判断で様子を見続けるより、早めに歯科医院で確認してもらうことが安心につながります。
一時的なしみとの違いは「続く期間」で見分けられる
処置当日から数時間しみるのは自然な反応ですが、1週間近く続く、あるいは日常生活に響くほど強くなる場合は、歯ぐきの状態や噛み合わせなど別の原因を調べる必要があります。厚生労働省のe-ヘルスネットでは、歯周病予防の基本は歯垢がつかないようにすることで、毎日の歯みがきや定期的な歯石除去が有効とされており、歯周病が進んでいる場合はしみやすさが続くこともあります[2]。
担当制の歯科衛生士が次回来院時の経過を確認します
当院ではメンテナンスを毎回同じ歯科衛生士が担当する体制をとっており、前回の様子と比べて変化がないかを継続的に確認できるようにしています。e-ヘルスネットでも、歯周治療を受けると歯周病原菌が減少して、良好な歯ぐきの状態が得られますが、治療終了後に定期的な管理をしないと歯周病原菌が増加したり、咬み合わせが変わったりして歯周病が再発することがあると説明されており、しみる感覚も含めて定期的な経過観察が大切です[3]。しみが続く場合や気になる症状があるときは、次回のメンテナンスを待たずにご相談いただいて構いません。
PMTC自体の効果や役割についてさらに知りたい方は、PMTCの効果とは?プロによる歯面清掃の必要性、痛みへの配慮が気になる方は予防歯科って痛い?痛みを抑える工夫と当院の配慮もあわせてご覧ください。
まとめ
- PMTC後にしみるのは、歯の表面の汚れが取れて象牙質が刺激を受けやすくなる一時的な反応であることが多いです
- しみは象牙質の中の細い管(象牙細管)に刺激が伝わることで起こり、多くは短時間でおさまります
- 当日は冷たい・熱い・酸味の強いものを控え、やわらかい毛先の歯ブラシで優しく磨くと過ごしやすくなります
- しみが数日以上続く場合は知覚過敏や虫歯、歯周病が背景にある可能性があるため、経過を確認してもらうことが大切です
- 当院では担当制の歯科衛生士が継続してお口の状態を確認しており、気になる変化があれば次回の来院を待たずに相談いただけます
しみが続く場合はご不安を感じる前に、初めての方へ(初診の流れ)からご相談ください。駒沢みんなの歯医者は駒沢大学駅から徒歩4分、平日は20時まで、土曜も17時まで診療しておりますので、通いやすいタイミングでお声がけいただければと思います。
参考文献
[1] 神奈川県歯科医師会「知覚過敏への歯科医師の対応」dent-kng.or.jp
[2] 厚生労働省 e-ヘルスネット「歯周病の予防と治療」kennet.mhlw.go.jp
[3] 厚生労働省 e-ヘルスネット「メインテナンス」kennet.mhlw.go.jp