歯石取りと聞くと、痛そうで身構えてしまう方は少なくありません。過去に強い痛みを経験した方や、器具の音や振動が苦手な方もいらっしゃいますよね。まずは「どんな時に痛みが出やすいのか」を知ることから、一緒に不安をほどいていきましょう。
歯石取りの痛みは炎症の程度と歯石の付着部位で変わります

歯石取り自体は、歯の表面に固着した汚れを器具で除去する処置です。痛みの強さは「歯石の量」「歯ぐきの炎症の有無」「付着している深さ」によって変わり、誰にでも同じように痛いわけではありません。
軽い歯石取り(スケーリング)は振動や水しぶきが主な刺激です
歯ぐきより上に見えている歯石を取るスケーリングでは、超音波や振動を使った器具で歯石を細かく壊して洗い流します。歯ぐきが健康な状態であれば、感じるのは器具の振動や水の刺激程度で済むことが多いです。
歯周ポケットが深い場合はルートプレーニングで麻酔を使うことがあります
歯周病が進行して歯周ポケット(歯と歯ぐきの間の溝)が深くなると、ポケットの奥にこびりついた歯石や汚れた根の表面を滑らかにするルートプレーニング(SRP)が必要になります。日本歯周病学会の資料では、歯周ポケットの部位と深さ、歯肉の厚さや性状などを参考にして治療回数を決定し、術後疼痛や硬い食物が噛みにくいことへの配慮も治療計画に含めることが示されています[4]。この処置では局所麻酔を用いることが一般的です。
歯ぐきの腫れが強いほど同じ処置でも痛みを感じやすくなります
炎症を起こしている歯ぐきは触られること自体に敏感になっています。e-ヘルスネットによると歯周ポケット(4mm以上)の保有者の割合は高齢者層で高値を示し、45歳以上で過半数を占めています[1]。年齢を重ねるほど歯石取りで痛みを感じやすい状態になりやすいとも言えます。
痛みを感じやすいのは歯ぐきの奥や歯と歯の間です

歯石取りの痛みは口の中でも部位差があります。特に歯ぐきの奥、歯と歯の間、歯の根元は反応しやすい場所です。ご自身のお口のどこが弱いのかを知っておくと、当日の心構えにもつながります。
奥歯の内側や歯と歯の間は器具が届きにくく反応しやすい部位です
奥歯の裏側や歯と歯の間は歯ブラシが届きにくく、歯石が溜まりやすい場所でもあります。器具を当てる時間が長くなりやすいため、他の部位よりチクッとした刺激を感じやすい傾向があります。
歯ぐきが下がって根元が露出した部分はしみやすくなります
日本歯科医師会のテーマパーク8020では、歯石をとっている時に器具が象牙質表面に触れたり、水をかけて処置をするため、知覚過敏と同様の痛みを感じることがありますと説明されています[2]。歯ぐきが下がって根元の象牙質が露出している方は、この知覚過敏のような痛みが出やすい部位になります。
歯ぐきに炎症があるとどの部位でも痛みが増しやすくなります
e-ヘルスネットのデータでは歯肉出血がある人の割合はどの年齢階級も4割前後と概ね一定した値を示しています[1]。歯ぐきからの出血がある方は炎症を抱えている可能性が高く、どの部位でも痛みを感じやすい状態になっていると考えられます。歯周病そのものについては歯周病予防で大切なことは?効果的な予防方法を紹介でも詳しく触れています。
当院では電動麻酔器と器具の使い分けで痛みを抑えます

痛みへの不安が強い方には、麻酔の使い方や器具の選び方を工夫することで、感じる刺激を和らげることができます。当院では駒沢大学駅徒歩4分の診療室で、部位や症状に合わせた対応を行っています。
表面麻酔と電動麻酔器を組み合わせて注射時の痛みに配慮しています
当院では表面麻酔や電動麻酔器を組み合わせ、麻酔注射の痛みを抑える工夫を実施しています。ニプロジェクトペンという電動麻酔器を使用し、注入速度・圧力を一定に制御することで、注射特有の圧迫感を減らす取り組みをしています。日本歯周病学会誌に掲載された研究でも、SRPにおける痛みの強さは、ゲル麻酔の方が浸潤麻酔よりも有意に強かったものの、麻酔の好みはゲル麻酔を選んだ者の割合が浸潤麻酔よりも有意に多く、その理由は注射針の刺入時の疼痛や施術後のしびれなどの不快感がないことであったと報告されており[3]、麻酔方法の選び方が快適さに影響することがわかります。
部位や歯石の量に応じて器具を使い分けています
歯石の量や場所に応じて超音波スケーラーや手用の器具を使い分けることで、必要以上に器具を当てる時間を減らす工夫をしています。歯石取りとクリーニングの違いが気になる方は、歯石取りとクリーニングの違いって何?使い分けを解説もご参考にしてください。
不安が強い方には笑気吸入鎮静器という選択肢もあります
緊張が強い方やお子さまには、笑気吸入鎮静器を導入しており、不安や緊張を和らげながら処置を受けていただける環境を整えています。予防処置全体の痛みへの配慮については予防歯科って痛い?痛みを抑える工夫と当院の配慮で詳しくご紹介しています。
歯石取り後に歯ぐきがズキズキするのは一時的な反応です
処置直後に歯ぐきがジンジンする、あるいは冷たいものがしみると感じる方もいらっしゃいますが、多くは一時的な反応です。時間の経過とともに落ち着くことがほとんどですので、過度に心配しすぎなくて大丈夫です。
処置後2〜3日は歯ぐきの違和感が出ることがあります
歯石が剥がれた部分の歯ぐきは、しばらく刺激に敏感な状態になります。強くこすらないよう優しくブラッシングを続けることで、徐々に落ち着いていきます。
しみる症状はセルフケアの見直しでやわらぐことがあります
知覚過敏用の歯磨き粉を使う、力を入れすぎずに歯ブラシを小さく動かすといった工夫も有効です。当院では毎回同じ歯科衛生士が担当する担当制を導入しており、継続的にお口の状態を見ながらケアの提案をしています。
痛みが1週間以上続く場合はご相談ください
腫れや膿を伴う痛みが長引く場合は、通常の反応とは異なる可能性があります。気になる症状があれば、来院時にご相談ください。予防のための通院ペースについては予防歯科の頻度はどのくらい?適切な通院間隔を解説もあわせてご覧ください。
まとめ
- 歯石取りの痛みは歯石の量・炎症の有無・付着している深さによって変わり、誰にでも同じ強さで出るわけではありません
- 歯ぐきの奥や歯と歯の間、根元が露出した部分は特に反応しやすい部位です
- 当院では表面麻酔や電動麻酔器、器具の使い分けなど部位に応じた痛みへの配慮を行っています
- 処置後のジンジンした痛みは一時的なことが多く、セルフケアの見直しでやわらぐことがあります
- 痛みが長引く、腫れや膿がある場合は早めのご相談をおすすめします
痛みへの不安がある方は、来院前にWebフォームまたはお電話(03-6805-5455)でご相談いただけます。駒沢みんなの歯医者は駒沢大学駅徒歩4分、月火木金は夜20時まで、水曜は午前のみ、土曜も17時まで診療しておりますので、お仕事や学業でお忙しい方も通いやすい環境です。まずは初めての方へ(初診の流れ)をご確認いただき、気になる症状や不安な点を遠慮なくお伝えください。
参考文献
[1] e-ヘルスネット(厚生労働省)「歯周疾患の有病状況」kennet.mhlw.go.jp
[2] 日本歯科医師会 テーマパーク8020「知覚過敏」jda.or.jp
[3] 日本歯周病学会会誌「表面麻酔ゲルの歯周ポケット内注入塗布法によるスケーリング・ルートプレーニング時の鎮痛効果:無作為化クロスオーバー試験」jstage.jst.go.jp
[4] 日本歯周病学会 歯科衛生士コーナー「SRPの実際」perio.jp